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山本病院事件は業務上過失致死ではない。傷害致死だ!!

 山本病院の事件を手術結果に対する業務上過失致死 という方向で警察は立件しようといている。それは妙だ。

 警察は血管腫と癌との鑑別は困難だから 意図的に血管腫を癌と偽って手術したということは立件困難であると思っているらしいが、消化器外科をやっているものなら、鑑別困難ではないことくらい解る。またまた、逆の方向で、警察は臨床医の言う事に耳を傾けていないのではないかとおもう。

 肝臓において 血管腫と癌腫の鑑別は CTでも超音波でも容易だし、血管造影などなされれば、その定義からしても血管腫は完全にわかってしまう。血管造影所見まであって血管腫を癌腫といいはるのは故意でないとありえない。

 しかるに、この例はTAEということをやっている。これは肝の動脈を塞栓して、主として動脈から栄養をうけている癌にダメージをあたえるという方法なのだが、そのためには、絶対に血管造影しないと、ソケイ部から入れたカテーテルの先が肝動脈に はいっていることすらわからない。したがって血管造影は確実にやっている。まちがいなく血管腫と診断できている筈だ。

 よって、この段階でも血管腫を癌腫といいはるのは故意でないとありえない。 まちがいなく多くの証人が検察側に立ち 弁護側にはだれもたたないだろう。

故意であることを立証するのは 下記URLのように塚本容疑者の供述でもいけるかもしれない。彼は 体を張ってでも手術を止めるべきであったが、丁度上司にいわれて捕虜を殺した戦犯のようなもの、胸中を思うと複雑だが、すべてを話して山本容疑者の罪を暴いてほしい。それが彼にできるせめてもの死者に対する償いだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100208-00000012-san-soci

ちなみに、上記報道でも外勤していた放射線科医が血管腫と診断している。あたりまえだ・・・


血管腫を癌と偽って手術するのは故意犯だ。

それを 方便で安易に業務上過失致死などで手術の現場にふみこんでもらいたくない。

ちまたで広まりだした話・・・たとえば、 看護師が制止したことだって助言は助言として聞いて、説明して手術することはある。それは医師が新たな知見を持っている場合だ。

輸血の準備をするよう進言されたことだって輸血なしで、肝臓切除することはある。この医療費抑制のご時世、輸血の返品がきかないから、必要なしと思えばオーダーしない。 ・・・庇のようなところであれば腸カンシでも出血は制御できるからだ。 さらに、術後に一杯やるということも、非番であればありえる。

このように、手術における業務上過失致死というのを強行すると、不本意ながら容疑者の側にたった事をいわなくてはならなくなってくる。

 だから、私たちがついているから、警察検察には一生懸命下らないリークをしてダーティイメージをつくるのではなくて、正々堂々と傷害致死ですすんでいただきたいものだ。

----追記----

「山本容疑者は杜撰な手術に対する業務上過失致死よりも 血管腫を癌腫と偽って手術したことに対する傷害致死罪で告発せよ」
と 言った場合
手術現場の医師 と 法律に詳しい方 との着眼点が違っていて 手術現場の医師は診断段階と手術段階での結果回避可能性に目が行くのに対して、法律に詳しい方は 傷害致死と業務上過失致死との運用方法に目が行って 論議がすれ違う事がわかったので、下記に整理してみた。
--------------
 山本病院事件に関して警察が手術の準備と杜撰さに対する業務上過失致死という理由で逮捕したことと、それに派生する諸般の報道について 気になるところがある。
 私はこの虚偽診断の故意性の証明は この腫瘍がFNHなどではなくて 血管造影検査すれば鑑別は容易である血管腫であったことと、TAEまでやっていて血管造影検査していることは自明であることから、もしも本人が故意性を否認しても 周囲の証言から傷害致死罪で立証可能であると考えている。
 しかし、たとえば
 「USでhyperechoicで、造影CTでも血管造影でも求心性濃染でした。これまで私はこの所見を「肝細胞癌の典型像」だと記憶していましたが、しかし医学書を読み直し不勉強を悟りました。」
と山本容疑者が証言をして、その本人の証言を覆す周囲の十分な証言が得られないとしたばあい、それは確かに傷害致死罪の立証は困難になるだろう。この点を多くの法律家は指摘するが、

それならば あくまで この件で、

「手術にいたるまで、周囲の意見 専門医の意見 そしてみずから医学書を確認するなどの注意義務を怠った・・・」

という形での手術に至るまでに慎重であるべき診断段階での業務上過失致死罪を考えるべきである。

 報道された逮捕理由をみると、上記理由で傷害致死での立件が困難である可能性も考えて 手術の杜撰さからの業務上過失致死罪でなら立件容易と考えて逮捕したのではないかと思われるが、
たとえば
「手術時の手技ミスで血管を傷つけたが、それに気づかず放置して出血死させた」
 ということでも、それは日常注意していても 残念ながら絶対にありえないことではないので、それで業務上過失致死を振りかざして手術場に警察にのりこまれてはだれも手術しなくなる。
 準備不足についても、どんな手術においても手術室は病魔と戦う戦場であり、時間は限られ地雷もあるわけであるから、その全ての事態に完全に対応する準備をすることは、現実問題不可能であり、いかなる手術においても理論的には何らかの面での準備不足を指摘できてしまう。それで結果が悪くて業務上過失致死を振りかざして手術場に警察にのりこまれてはだれも手術しなくなる。
 さらに術中の操作についても、その時間が限られる戦場における時々の医師の裁量を認めないと かえって危険な場面も多々ある。
  一方専門外なのに手術した云々でも、専門医資格をもっていなくても名手はいるし、逆に資格もっていても・・・どうかな・・・という腕前の持ち主も残念ながらおられる。基準はむずかしい。

 山本病院の事件については、さまざまな報道で、手術の状況が異様であるらしいとは思うが、それでも「手術に対する業務上過失致死」 というものの運用は 極めて慎重であるべきであり これを振りかざされては手術現場が委縮して困難手術が敬遠され国民にとっての不利益になる可能性がある一方、立件側としても各々の面について弁護側に反証され反例をもちだされると、公判が検察側にとってきびしくなり、またこの件では我々外科医が絶対さけたいところの 検察 対 外科医の対立の構図になってしまう可能性すら否定できない。

 一方 血管造影までした血管腫の癌との鑑別の確実性については
 たとえば、日本住血吸虫の卵が門脈枝に多数あってリピオドールが出て行かなかった例で 肝血管腫を肝細胞癌と鑑別できなかった例は一例みつけたが、
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001313739
これは、その鑑別できなかった事が珍しいからこそ論文になっているわけであり、山本病院事件での画像が残っているのならこういった例に該当しない事は明らかであると考える。肝臓の良性腫瘍の中にはFNHとよばれる癌腫と鑑別困難なものも含まれるが、こと血管造影まで施行した血管腫については鑑別は容易である。

従って くりかえすが、あくまで
「血管造影所見まである血管腫 と 癌腫との鑑別」
の故意性を求めて傷害致死罪での立件を目指すべきであり、
それが不利である場合に あくまでもこの診断の件で 

「手術に至るまでの時間に他の医師や専門医や医学書による確認を怠ったという注意義務違反」

を問う形での業務上過失致死罪に切り替えるのがよいのではないかと・・・法律は専門外ながら考える。
これも繰り返すが、その件であれば、多くの医師が検察側の証人に立つのではないかと思われる。

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コメント

そこまで医者が悪者になりきれるのだろうか?と驚かされた事件です。医療レベルが低かったと思いたいです。そこが医者がお人よしと言われるところなのでしょうか?

投稿: goi | 2010年2月18日 (木) 14時57分

goi さん コメントありがとうございます。
でも、私達には解りますでしょう?
報道の不確実性をさしひいても、現場の目から見ると故意でないと この診断はありえないし、すくなくとも手術にもっていくにはさらに慎重な診断態度が求められる筈です。

術死の完全な回避は 手術をしない事にほかなりません。そして、この方の術死はこの段階で完全に回避可能でした。

業務上過失致死を手術場にもちこまれることについては、ハナから患者を助けようとして危ない事やっているわけですから、民事による補償は十分にしても、刑事については やはり謙抑的でないと手術する人はいなくなると思います。

しかし、故意犯については、私どもが故意になればものすごい事になってしまうことも私たちは知っているわけですから、これについては謙抑ではなくて、厳罰を提言するべきであろうと考えます。

どうも、今回の逮捕理由が、この謙抑的運用という場面からずれてしまっているような危惧も感じます。謙抑的立場から傷害致死を業務上過失致死にしたというのでは、まったく現場の感覚からずれています。傷害致死立証困難であるか、十分に私どもの声を聞いていただきたいと思います。

今後の警察検察の動きに注目しています。

投稿: ベース医者 | 2010年2月18日 (木) 16時58分

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